「鎌倉仏教のミカタ」本郷和人、島田裕巳著

公開日: 更新日:

「鎌倉仏教のミカタ」本郷和人、島田裕巳著

 鎌倉時代に誕生した鎌倉「新」仏教を新たな視点で論じた対談集。

 戦前の日本史学は、法然、親鸞、一遍と続く浄土の教え(浄土宗系)をはじめ、武士と結びついた禅宗、そして蒙古襲来を予言した日蓮が立ち上げた鎌倉新仏教を高く評価した。しかし、戦後は仏教の太い幹は依然として天台宗・真言宗の密教であり、鎌倉新仏教は枝葉だとする主張が説得力を持ったという。

 宗教学者の島田氏は、鎌倉仏教とは「近代が生み出した幻想」だと断じる。明治以降、各宗派の力を誇示するために開祖を偉大にみせるためのストーリーが作られ、神格化されたのだと。

 仏教伝来から鎌倉新仏教の誕生、そして各宗派について論じたうえで、宗派という枠組みから外れて仏教とは何かを論じていく。 (祥伝社 1034円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁の「清純派枠」を狙うのは"二股不倫報道”の田中圭と同じ事務所の有望株という皮肉

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    橋本環奈『天久鷹央の推理カルテ』コア視聴率も低迷…パワハラ報道前からあった"上げ底人気"疑惑

  4. 4

    趣里と三山凌輝に結婚報道…“希代のワル”羽賀研二を彷彿とさせる男の登場に水谷豊どうする?

  5. 5

    慶応幼稚舎の願書備考欄に「親族が出身者」と書くメリットは? 縁故入学が横行していた過去の例

  1. 6

    ベッキー不倫騒動が教訓 LINEはこうして筒抜けになる

  2. 7

    自民“裏金議員”西田昌司氏が沖縄戦に許しがたいイチャモン…次期参院選に推薦した公明は真っ青

  3. 8

    上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状

  4. 9

    人間の脳内のマイクロプラスチック量は「使い捨てスプーン」サイズ…8年前より1.5倍に増えていた

  5. 10

    嵐「解散ビジネス」で荒稼ぎの皮算用…総売り上げは500億に? 2026年5月に活動終了