「海の地政学」竹田いさみ著

公開日: 更新日:

 15世紀の大航海時代以降、海洋覇権をめぐりしのぎを削ってきた各国の攻防を地政学的視点から振り返る海洋史。

 1492年の新大陸発見を機に、スペインとポルトガルが海洋進出を加速。この時代、領海という概念はなく海洋は無秩序だった。両国の海洋競争が激化し、大きな対立に発展する危険性が高まり、ローマ教皇の調停で世界初の海洋分割が行われる。以降、19世紀にはイギリスが海の覇者となり、20世紀にはアメリカが台頭。そして1994年に一国家による一方的な海洋支配を食い止めるため、海の憲法とも呼ばれる国連海洋法条約が発効される。

 だが、21世紀に入り、中国がこの“憲法”に挑戦する姿勢を示している。こうした海洋秩序の変遷に焦点を当て、近現代史を海から捉えなおす。

(中央公論新社 900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋