映画「ジャージー・ボーイズ」に“オヤジ版アナ雪”と評価の声
「まさにオヤジ版『アナと雪の女王』。多くの中高年世代の男性が“ああ、見てよかったな”と感じるのではないか」
と、映画批評家の前田有一氏が“太鼓判”を押す一本がこれ。先月27日から公開中の映画「ジャージー・ボーイズ」だ。
この秋は東宝と松竹がそれぞれ時代劇大作を手がけており、映画戦線の話題はもっぱらそちらに集中。興収ランキングは相変わらず、漫画原作の「るろうに剣心」や3Dドラえもんが好調なだけに「ジャージー――」は目立たないが、埋もれてしまうにはもったいない。そんな佳作のハリウッドムービーだという。
もとはブロードウェーの人気舞台の映画化で、演劇界の最高峰といわれる「トニー賞」受賞作というハク付き。どんな内容かといえば、1960年代に世界を席巻したバンド「ザ・フォー・シーズンズ」の伝記ものだ。
で、一体、どこがアナ雪なのか。爆発的ヒットとなったアニメは、姉のエルサ姫が♪ありのままの~を連呼する歌詞が象徴するように、今の自分を肯定する、女性による女性のための応援歌として支持を集めた。女、子供向けの内容だから共感できなかった諸兄も少なくないだろうが、一方の「ジャージー――」はその逆。男による男のための映画である。メンバー4人の男の友情、裏切り、家族の崩壊、失意からの再起と、栄光だけでなく挫折も丁寧に紡いだ作品だ。誰もがきっと聞き覚えのある「シェリー」や「君の瞳に恋してる」、タモリ倶楽部のテーマ曲も登場する。