著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

血液型に関係する病気(2)O型はコレラやペストなどの感染症になりやすい

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 血液型は多くの病気と関連していますが、なかでも重要なのが「感染症」です。マラリアのような、医学的には寄生虫症に分類されるものから、真菌(カビ)、細菌、ウイルスに至るまで、実に多くの感染症が血液型と深く結びついています。 

 血液型を決めているのは、赤血球の表面を覆う「糖鎖」と呼ばれる物質です。これにはA型、B型、H型の3種類があります。赤血球がA型糖鎖(医学的にはA抗原と呼ぶ)で覆われていれば血液型はA型となります。同様にB型糖鎖(B抗原)なら、血液型はB型です。またO型の人の赤血球は、H抗原で覆われています。またA抗原とB抗原の両方を持っていればAB型です。

 実はこれらの糖鎖は、赤血球だけでなく全身の細胞表面にも発現しているのです。たとえばA型の人は皮膚や、消化器や気管支の粘膜細胞などが、すべてA型糖鎖で覆われていますし、それが唾液や精液にも混じって出てくるため、それらのサンプルさえあれば、血液型が分かるわけです。

 病原体が感染するためには、まず人体のいずれかの細胞に接着する必要があります。病原体の表面には、接着のための分子が飛び出しています。ヒト細胞の表面の適当な分子と結合できれば、感染の第一歩をクリアできます。そのためによく利用されるのが血液型糖鎖というわけです(もちろんそれ以外の分子を利用する病原体も数多くいます)。

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