(6)自分のことができなくなった母、ヘルパーを頑なに拒否する父

公開日: 更新日:

 レビー小体型認知症の診断を受けた母と、公的支援を受けることを頑なに拒む父親を置いて、仕方なく実家から東京に戻ってきた私に3日後に届いたのは、母が熱中症で救急搬送されたという知らせだった。

 倒れている母を発見し、慌てた父がまず行ったことは、近隣に住む母の姉夫婦への電話だった。伯母夫婦が実家に到着したとき、母はまだ板張りの床に倒れたままで、父はただそこでオロオロしていただけだったと聞いた。救急車を呼ぶのは恥だから絶対に嫌だという父を説得して、なんとか乗せていってくれたのだという。

 病院と連絡を取ると、衣類や下着など必要なものを持ってきてほしい、そして入院承諾書を書いてほしいとのこと。これまでの一連の出来事で、父が他の人の手を借りるのを恐ろしいほど嫌がることと、理解能力や判断能力がかなり落ちていることがわかったので、おそらく頼むことは難しいだろう。私はまた誰にも言わず、翌日のフライトを日帰り往復で予約した。

 母は10日以上、もしかしたらそれ以上、風呂にも入らず下着も替えていなかったようだという。3日前の帰省時に、私はそれに気づくことができなかった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択