(30)どの施設ならいいのか…判断材料はほとんどなかった

公開日: 更新日:

 父が亡くなり、残された猫たちを東京に引き取った私は、実家の整理と事務的な手続きに追われながら、限界に近い疲労を感じていた。こういう時に限ってなぜか仕事も忙しく、次から次に依頼や打ち合わせが相次いでいた。先行きのわからない不安から、私はあらゆる依頼を引き受けた。

 父の死後2カ月が過ぎた春ごろ、母の入院先から「そろそろ退院後のことを考えてほしい」と連絡があった。父のいなくなった実家で、日常生活のできなくなった認知症の母が暮らすのは難しい。ただし、私が東京の生活を引き払って熊本の実家に帰り、介護生活に入ることは一切考えなかった。

 施設探しを始めようと地域包括支援センターに相談したところ、無料で探してくれる民間業者を紹介された。公的機関である「包括」では、制度上、特定の施設を紹介したり斡旋したりすることはできないらしい。そのため、実家の区域にある包括では、外部の紹介業者につなぐという対応になっているのだという。

 紹介業者の担当者からは、予算や必要な介護の状況、医療的なケアの要否など、いくつかの項目をヒアリングされた。だが、私はこの段階で早くも行き詰まった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  3. 3

    仰天! 参院選兵庫選挙区の国民民主党候補は、県知事選で「斎藤元彦陣営ボランティア」だった

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  5. 5

    ドジャース大谷翔平に「不正賭博騒動」飛び火の懸念…イッペイ事件から1年、米球界に再び衝撃走る

  1. 6

    遠野なぎこさんか? 都内マンションで遺体見つかる 腐乱激しく身元確認のためDNA鑑定へ

  2. 7

    京成電鉄にのしかかるオリエンタルランド株の重荷…物言う株主の揺さぶりには抵抗も厳しい“お家事情”

  3. 8

    近年の夏は地獄…ベテランプロキャディーが教える“酷暑ゴルフ”の完全対策

  4. 9

    今度は井ノ原快彦にジュニアへの“パワハラ疑惑”報道…旧ジャニタレが拭い切れないハラスメントイメージ

  5. 10

    小泉進次郎農相がSNSで難クセ連発の理由…JA会長を名指しで晒し上げ連日大炎上