認知症の患者さんからのセクハラにどのように対応するか
「中国人の技能実習生の女性にセクハラ行為があり、彼女がとても怖がっているんです」
ある日、日頃から関わりのあるデイサービス事業所から、そこに通う89歳の男性患者さんについて相談の電話がありました。
この男性は軽度の認知症が見られ始めている方で、高血圧や糖尿病といった慢性疾患を抱えながらも、大きな病気はなく、日中の活動量を増やす目的で週に2回ほどデイサービスを利用されていました。
認知症では、薬の飲み忘れなど日常生活での物忘れが目立ってきます。また、進行すると、本人の性格が変わったり、ささいな言葉や刺激に対して怒りっぽくなる「易怒性」が出てくることがあります。対人関係でトラブルを引き起こしたり、コミュニケーションがうまくいかなくなることも少なくありません。
こうした変化は、病気や加齢によるものだと家族や周囲も理解し、見守りながらサポートすることで対処できます。しかし、それでも多くの人が頭を抱える問題として相談が多いのが「セクハラ行為」なのです。