<第5回>野村祐輔の躍動はマウンドでのちょっとした余裕
プロでやっていく以上は、小手先の技術ばかりを追い求めるのではなく、継続して速球の球威を磨く努力と工夫をしてもらいたいと考えました。どんな投手でも、速球が投球の基本だからです。
野村が3年目を迎えたキャンプのブルペンでは、「周りを気にせず、集中して投げろ」と注意したこともあります。他の投手の様子をチラチラ見ながら投球していたからです。気持ちが後ろ向きになっているときは、表情や態度に出るもの。試合でもそういうそぶりを見せるケースがあり、当時の監督だった野村謙二郎さんから、「打者は投手のマウンドでの振る舞いを見れば、心理がわかる。注意しておいてほしい」と言われた経験もありました。
こうした経緯もあって私は、野村を食事に誘い、こんな話をしました。
「投手は打たれることは嫌なものだけど、打者と勝負をしないと前には進めない。しかも自分の球に自信がないと、逃げる投球になってしまう。ボールの威力と精度を上げることで、多少甘く入っても大丈夫だと思える。ボールから入るのではなく早めに追い込んで勝負できる」


















