「オールドタイムズ」本城雅人著
タブロイド紙「東亜イブニング」の中核記者だった不動優作は、「早期優遇退職」の面談を受けた。今回で3度目だ。辞めるつもりはなかったが、同期入社の大八木が、紙の新聞はいずれなくなるから、ネットニュース社を立ち上げると聞いて、参加することに。社名は「オールドタイムズ」。
ある日、会議の途中で、持ち寄ったテーマへの切り口が百八十度転換した。東京地裁の矢野判事は就任して以来、2年間で7つの控訴審が逆転無罪または差し戻しになり、「逆転判事」と呼ばれていた。ところが、匿名掲示板などで、認知症だとの噂が……。その真偽を確かめるためには、7件の判決の洗い直しが必要になる。
弱小ウェブニュースの挑戦を描く。
(講談社 1800円+税)