大高宏雄氏が追悼 反体制反権力貫いた鈴木清順さんの美学

公開日: 更新日:

 映画監督の鈴木清順(本名・清太郎)氏が13日、慢性閉塞性肺疾患のため、都内の病院で息を引き取った。享年93。個性的な美学を貫き続けた故人が本当に描きたかったものとは――。

  ◇  ◇  ◇

 日本のみならず、世界中を見渡しても独自の境地を構築した監督だった。その異端な作風は「清順美学」とも呼ばれたが、ときに難解とのそしりも受け、長く映画が撮れない時期もあった。

 筆者が清順映画に夢中になったのは、1970年代半ばごろだった。ちょうど彼が新作を撮れない時期にあたり、池袋・文芸坐のオールナイトで過去の作品を見続けた。映画文法の良識、常識を打ち破る過激でスタイリッシュな演出手法は、反体制気質がみなぎる当時の大学生を中心に圧倒的な人気を得たのである。

 故人は1968年、所属する日活をクビになった。当時の堀久作社長が彼の作品の難解さに業を煮やしたのだ。この解雇劇は裁判沙汰にまで発展、監督を応援する「鈴木清順問題共闘会議」という団体もできた。当時の映画人は、映画表現の保護と権力の横暴許すまじとの気構えが強かった。時代の空気は反体制、反権力の真っただ中であり、監督はその文脈に乗った。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う