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山内泰幸元広島投手/野球解説者

広島県東広島市生まれの43歳。尾道商高、日体大を経て、94年のドラフト逆指名(1位)で広島入団。特徴的な「UFO投法」で1年目の95年に14勝を挙げて新人王。翌年も2ケタ勝利。02年に引退後、14年まで一軍投手コーチなどを歴任。通算45勝44敗、防御率4・40。現在はテレビ新広島(CX系)の専属解説者。

<第3回>クロは「この新幹線、脱線しないですかね」と呟いた

公開日: 更新日:

 あの日は、朝から激しい雨が降っていました。空は灰色というか鈍色です。

 97年8月、私とクロ(黒田博樹)は名古屋から帰広するため、新幹線に乗り込みました。

 新人だったクロはローテ投手として前日、中日戦に先発しました。しかし、5回もたずにKOされてしまいました。私もクロが先発した前日に先発し、八回途中で失点を重ねて降板。シーズン中盤の勝負どころで、揃って勝ち投手になれませんでした。

 天気と同じく、どんよりした気持ちで隣り合わせで座りました。列車が出発してしばらくするとクロは、「つらいっすわ」とうなだれると、神妙な表情をしながら「この新幹線、脱線しないですかね」とボソッとつぶやいたのです。

 今でこそ日米通算200勝を達成した大投手ですが、このときは3戦連続で負けが続いていました。開幕前の二軍のオープン戦では、1回10失点を喫したこともありました。打たれるつらさを痛感すると同時に、自分に対するふがいない気持ちが口をついたのでしょう。

 その後、カープでエースとなり、メジャーでも活躍したクロは、「一球の重み」を大事にしています。ルーキーの頃から、この一試合、この一球に対する思いは強かったように感じます。

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