8億円も投じたのに リオ五輪“日本村”が不人気だった理由
日本勢史上最多41個のメダルを獲得したリオ五輪。その原動力のひとつとされたのが「日本村」。「ハイパフォーマンスサポート・センター(HPSC)」と名づけられていたこの施設には、日本食を提供する食堂、炭酸泉ジャグジーのあるスパやサウナ、プール、トレーニング場、高速の光回線を引いた映像分析ルームなどが完備されていた。100人以上のスタッフが常駐。国費約8億1000万円を投じた肝いりの施設だった。
至れり尽くせりの環境を整えたのだから、ほとんどの選手が利用したのかと思いきや、あるメダリストはこう言っていた。
「僕は一度も行きませんでした。歩いて行けるような場所ならまだしも、車やバスじゃないと行けない。リオは治安の悪さも問題になっていたので、そこで何かに巻き込まれたらリスクが大きすぎる。それで行くのはやめました。周りのメダリストも『一回行って遠いからやめた』と言う人が結構いました」
この施設、リオの選手村から車で約20~30分と遠く、歩いて行き来することは不可能。30分間隔でシャトルバスが運行していたというが、10時から22時までと使える時間も限られていたのだ。
選手がもっぱら通っていたのは選手村から徒歩10分の距離にある「JOC G-Road Station」という施設。
ほぼ24時間利用できる食堂で、こっちの方が人気だったようだ。