著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

言葉を失ったオールドメディアへの“しんみり感”…「すごい」を言うために記録を引っ張り出す逆転現象にもシラける

公開日: 更新日:

 目覚まし代わりのNHKラジオで興味深い話を聞いた。

 エッセイスト・酒井順子さんの朝のエッセーが炎上したという──大谷翔平の非の打ちどころのない活躍に「しんみり感を覚える」と話したのだ。

 しんみり、要はシラケるということ。炎上もうなずけるが、このしんみりは大谷ではなくメディアへの違和感だろう。

 30歳の男をつかまえて、礼儀正しい、笑顔が可愛い、ゴミを拾った、愛犬が賢い、奥さんは美人と、右へ倣えの絶賛の嵐……気持ち悪い。

 アスリートの素晴らしさはスタジアム内の活躍にあり、最近の報道はそこで収まらない。この秋に来日したATPツアーの幹部はコロナ後の変化として「記者が減りインフルエンサーが増えた」と話していた。

 ネット出現に伴う世界的傾向なのだが、日本のスポーツには新聞事業(特に全国紙)と一体となって普及した特殊性がある。話を盛ることと報道がごちゃごちゃに広まり、「弾丸ライナー」「懸河のドロップ」「サヨナラホームラン」など文学的表現が一般紙の記事に平気で使われてきた。ニュース原稿にこんな言葉は使わない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭