山内泰幸の巻 突然の「1位指名」に何より自分が驚いた
「僕ばかり肉を食べていいんですか?」
「俺は大丈夫だから、どんどん食え」
私がカープに入団して間もないころ、担当スカウトの渡辺秀武さんと焼き肉屋で食事をしていると、渡辺さんは肉には箸をつけず、玉ネギやピーマンなどの野菜ばかり食べていました。
「若いころに金田(正一)さんと一緒に暴飲暴食しちゃったから、あまり肉を食えないんだよ」
気が引ける私に、頭をかきながらこう言っていた渡辺さんは当時50歳代半ば。巨人での現役時代は金田さんに可愛がってもらったそうです。82年にカープで現役を終えてから06年までの23年間、東京駐在スカウトとして多くの選手を指名。今季2000安打を達成した新井貴浩も、渡辺さんが担当した選手です。
私は日体大4年時の94年にカープを逆指名させていただきました。渡辺さんに加え、当時のチーフスカウトだった備前喜夫さんが大学3年時から熱心に見に来てくれていることは知っていました。
93年から逆指名制度(07年廃止)が導入され、カープを含めた4球団が関心を持ってくれていると聞いていました。ただ同年3月、松下電器とのオープン戦で大阪に遠征していた際、宿舎に新聞記者が来て、「広島が1位で獲得したいと言っている」と聞かされたときには、うれしい気持ちと同時にビックリしました。両親も新聞を読んで慌てて連絡してきたことを覚えています。広島出身の私にとって野球といえばカープ。広島に帰って野球をやろうという気持ちが固まっていきました。


















