「かまさん」門井慶喜著
慶応4年正月、将軍警護のために大坂湾に展開していた軍艦・開陽の艦長・榎本釜次郎(武揚)は、薩摩藩の艦船との戦いに勝利。戦勝報告のため大坂城に行くが、将軍慶喜が入れ違いに開陽に乗船して江戸に引き揚げたことを知る。数日後、江戸城大広間で開かれた幕閣会議の席で、慶喜が謹慎すると言いだす。別の軍船で江戸に戻った釜次郎は、思わず一同の前で「腰が抜けたか、将軍様あっ!」と叫ぶが、慶喜の決意は変わらない。その一言で釜次郎は主戦派の首魁に祭り上げられる。しかし、釜次郎の本当の夢は自分の手で近代国家をつくり上げることだった。
科学者であり、技術者であり、そして法学者でもあった近代人・榎本武揚の戦いを描く歴史小説。(祥伝社 860円+税)