情報発信のリテラシー

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「デジタル時代の情報発信のリスクと対策」北田明子著 レクシード監修 山本一宗執筆協力

 SNSでの炎上はいまや交通事故並みのリスク。そんな時代の情報発信の心得は。

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「デジタル時代の情報発信のリスクと対策」北田明子著 レクシード監修 山本一宗執筆協力

 安易な情報発信でトラブル続出はいまや当たり前。しかし、当の本人になるとよくある話ではすまない。

 いったん炎上騒動を起こせば周囲の目もむしろ冷たいのだ。また逆に、迷惑動画などで被害をこうむった企業がどう対応するかという問題もある。本書は具体的なケースを想定し、そこで起こるトラブルへの対策を法律面をふくめて考察する。

 たとえば、会社のツイート担当者が安易に政治批判をして炎上したらどうするか。会社のホームページやPR動画に出演した社員が離職してしまったらどうすればいいのか。インフルエンサーに謝礼を渡してPRに使って「ステルス広告」とメディアで批判されたらどうするか。自社の製品やサービスを好意的に取り上げたメディアの記事などをスマホで接写して掲載したら法律違反なのか、など。

 著作権や肖像権など、法的な観点で、問題になりそうなところを具体的に教えてくれるのがいい。どこまでがステマ(ステルスマーケティング)の範囲になってしまうのかをくわしく解説した章は特に読みごたえがある。

(東洋経済新報社 2640円)

「発信する人のためのメディア・リテラシー」内田朋子、堤信子著

「発信する人のためのメディア・リテラシー」内田朋子、堤信子著

 デジタル時代のジャーナリズムは難しいといわれる。テレビ、新聞、雑誌など昔ながらのメディアもそれぞれに工夫と新機軸に知恵を絞る。本書は京都芸大でおこなわれた連続講義をまとめたもの。

 大手新聞社出身の政治ジャーナリストは「偏向報道や批判ばかりしているから新聞は読まれなくなったというのは違う」という。では批判とはなにか。権力の監視というジャーナリズムの本義はなにか。

 たとえば、安倍元首相銃撃事件の被告について。母親が新興宗教に入信し……という話は警察発表によるもの。実は被告がなにを語ったのか、供述の詳細は未発表。その後、検察は被告の精神鑑定を要求し、その引き延ばしも図った。精神に障害があれば責任能力は問えなくなる。それを狙って政治的に隠したいことを権力が狙ったのではないか--。

 こういう見方をできるかどうかがジャーナリズムの「批判」的視点だ。

(晶文社 1980円)

「〈声なき声〉のジャーナリズム」田中瑛著

「〈声なき声〉のジャーナリズム」田中瑛著

 価値観の多様化した現代。「生きづらさに寄り添う」はテレビ番組などでも登場する「耳当たりのよいフレーズ」になった。リベラルな知識人はこれをよしとするが、陰で反発し激発する力も「京アニ放火殺人」や「京王線のジョーカー」などで現実になった。本書はこんな時代にいかなるジャーナリズムが可能なのかを、実際のテレビ番組や実践的なワークショップをふまえて論じる。

 取り上げる番組はネトウヨに人気の「虎ノ門ニュース」、Eテレの福祉番組「ハートネットTV」、さらにネットフリックスで配信されるアメリカのリアリティー番組「クィア・アイ」へと多角的。

 番組制作の裏側まで細かく取材しての分析はシロウトの読者にはわかりづらいが、書名にいう「声なき声」とは若者世代の「声にならない声」のことと考えるなら、まだ本人たちにも自覚できてない未知の可能性に取り組む試みといえるだろう。

(慶應義塾大学出版会 3520円)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

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