「本バスめぐりん。」大崎梢著
定年退職後に暇を持て余していた照岡は、非常勤職員として市の図書館が運営する移動図書館のバスの運転手の仕事に就く。照岡と司書の菜緒子は、移動図書館「めぐりん号」で、市内16カ所を2週間かけて回る。2週間前、菜緒子は利用者から大切なものを挟んだまま本を返却してしまったと相談を受ける。返却された本は、次の移動先ですぐに貸し出されていた。菜緒子は、本を借りた常連利用者の寺沢に確認するが、心当たりはないという。その後、本を選び始めた寺沢の様子をそれとなくうかがっていた照岡は、突然彼女から話しかけられ、動揺する。(「テルさん、ウメちゃん」)
移動図書館を舞台にした連作ハートフル・ミステリー集。(東京創元社 1300円+税)