「聴導犬のなみだ」野中圭一郎著
耳が聞こえない人を助ける「聴導犬」の世界を伝える感動の物語。
聴導犬はほえない。そして、たとえば道を歩いているときに後ろから車が近づいてきたときの音、目覚まし時計のアラーム、赤ちゃんの泣き声、花火の音、ファクスの受信音など日常生活で必要な音をひとつずつ覚え、耳の聞こえないユーザーに、体の上に乗ったり、顔をぺろぺろなめたりして伝えてくれるのだ。現在、盲導犬は966頭存在しているが、聴導犬はわずか69頭しか活躍していない。
本書は、捨てられ、保護センターに保護されていた子犬を訓練施設が引き取り、愛情を持って育て、しつける訓練士たちと、犬と、ユーザーとの三者の深い絆を描いた唯一無二の本。
(プレジデント社 1300円+税)