「天使の恥部」マヌエル・プイグ著、安藤哲行訳
1936年、世界一の美女と称えられた元女優は、富豪と結婚して引退。富豪は彼女が出演した映画のフィルムを買い占め、島にある屋敷に住まわせる。
1975年、不治の病で病院に入院中のアナは日記をつづっていた。夫のフィトと離婚してアルゼンチンからメキシコに来たアナだが、フィトの元に残してきた娘のことが気になる。交際中の弁護士のポッシが自分を政治活動に巻き込もうとしていることも気に入らず、自分にふさわしい男との出会いを夢見る。
一方、地軸変動で氷河期に入り各都市が海底に沈んだ未来で、徴集された女性、W218は老人たちの性欲の処理をする任務に就いていた。
過去・現在・未来が交錯しながら3人の女性の残酷な運命を描く長編。(白水社 1900円+税)