「『穴場』の喪失」本村凌二、マイク・モラスキー著
穴場の酒場で出会った2人が大衆文化をテーマに論じ合う対談集。
日本の居酒屋を愛し、日々、放浪しながら穴場を見つけてきたモラスキー氏は、最近、穴場が減少してきたと指摘。それは「食べログ」などのサイトの登場が原因で、こうしたネット情報の氾濫が人々に新しい店に自分で行く冒険心や探求心を失わせているという。
また、ネット情報によってこれまで地元の人以外あまり足を運ばなかった北千住などの下町が観光地化され、その土地の飲食文化の特有性が希薄化されていると、ネット時代の飲食文化について論じながら、居酒屋の作法や穴場の探し方などを披露し合う。その他、映画やギャンブルなどを俎上に、穴場が失われつつある今という時代を語る。(祥伝社 780円+税)