「メメント199334歳無職父さんの東大受験日記」両角長彦著
妻のナミに食べさせてもらっている作家志望の柴田元は、33歳で突然、東大受験を決意した。1回目はダメだったが懲りずに来年も受験するという。次もダメなら出ていくとナミは通告する。必死で受験勉強に励んでいると、3年前に書いた作品をマンガの原作にしたいという話が来た。一生に一度のチャンスなのに、娘の裕子が絵馬に「パパがだいがくにうかりますように」と書いたのを見て、衝動的に断ってしまう。先日、公園で裕子に話しかけた男は、なんだか10年前の少女監禁事件の犯人に似ているような気がする。一方、ナミはピアニストと偽ってキャバレーでピアノを弾くことに……。
崖っぷち男を描く著者の半自伝小説。
(KADOKAWA 1400円+税)