“視聴率苦戦だから失敗”に物申す! 山下智久「ブルーモーメント」錦戸亮「Re:リベンジ」5年ぶり民放作の意義

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山下智久&錦戸亮、民放復帰作で視聴率苦戦

 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベンジ-欲望の果てに-」(フジ系、以下「Re:リベンジ」)は、旧事務所から独立した2人にとって5年ぶりの民放ドラマ復帰作だが、視聴率で苦戦している。

「ブルーモーメント」は初回こそ平均世帯視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、若年層のコア視聴率2.9%とフジ系水曜22時枠としては高い数字だったものの、その後は右肩下がりで第4話では平均世帯視聴率5.6%、コア視聴率1.7%まで落ち込んだ。

 TVerのお気に入り登録数は96万人を突破し(5月24日時点)、民放GP帯ドラマの中では2番目に高いが、ネット上の評判が芳しくない。

「Re:リベンジ」も初回に平均世帯視聴率6.1%を記録した後は、概ね4%台で推移。コア視聴率は初回2.4%が第6話で1.5%となるなど、こちらはより厳しい数字となっている。

ドラマファンから辛辣な声も…
 TVerのお気に入り登録数は87万人(同)とまずまずだが、やはりドラマファンからの辛辣な声があがっている。

 では、山下と錦戸にとって5年ぶりの復帰作が失敗だったかというと、全くそんなことはない。どちらかと言えば、2作が彼らのポテンシャルに見合っていないと感じる(以下、ネタバレを含む)。

主演・山Pの描き方がこれじゃない感

「ブルーモーメント」で山下が演じるのは、気象庁気象研究所の研究官・晴原柑九朗。気象災害から人命を守るため、救助に立ち向かうSDM(特別災害対策本部)の一員だ。ただ、SDMでの晴原は指示役に徹することが多く、現場で命を救うために身をていする姿はあまり見られない。

 視聴率が堅調だった初回と第2話では、雪山での遭難者を救助するため、水上恒司(25)演じるレスキュー隊員・園部優吾と共にヘリコプターに乗り込み、吹雪の中、現場で命がけの救助にあたった。

 実際に遭難者をヘリコプターに救い上げるのは園部だが、晴原も“空を読む”力でギリギリの救出劇に尽力している。ここまでは手に汗握る展開で、晴原と園部が良きバディとして活躍していくものと思われた。

 第3話では強風に伴う火災が発生し、夏帆(32)演じる医師・汐見早霧が重症患者に治療を施し命を救う。晴原は風がわずかに弱まるタイミングを読み、園部ら消防班に大量放水の指示を出し、鎮火に成功する。

データをはじき出し、指示を出すだけ?
 災害現場で患者の命を救うと言えば、山下の代表作「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズを彷彿とさせるが、晴原はひたすらパソコンに向かいプログラミングをし、指示を出したのみ。“空を読む天才”という設定だが、それがどれだけ難しいことなのかは視聴者に伝わりづらい。

 晴原の才能によって大災害が食い止められた、という達成感や爽快感が抱きにくい。

天才・晴原の見せどころがない回も…

 第4話にいたっては、晴原に付く出口夏希(22)演じる新米研究助手・雲田彩の姉妹の物語が展開され、竜巻が発生するも大事には至らなかった。いよいよ天才・晴原の見せどころがない。

 こうした流れで「ブルーモーメント」は視聴者離れを起こしてしまったが、やはり「コード・ブルー」の藍沢耕作よろしく、逞しい肉体美を誇る山下が現場の最前線で人の命を救う姿を期待した視聴者を、“思ってた山Pと違う”と落胆させたことが大きな要因だろう。

 巨大なひょうが降り重症患者が出て、晴原含め濃霧の中で緊急車両で現地に突っ込んでいく救出劇を描いた第5話は、平均世帯視聴率6.1%とやや持ち直している。

主人公の赤楚衛二に共感できない
「Re:リベンジ」の苦戦の原因はより明白だ。主演の赤楚衛二(30)演じる天堂海斗は、父親が亡くなってから天堂記念病院の理事長の座を継ぐまでに、様々な陰謀に巻き込まれる。だが、海斗の言動は“甘えたお坊ちゃん”にしか見えず、主人公に共感できない。

錦戸演じる“敵役”の人間像が分かりづらい

 生前、権力にしがみついていると父親を非難していた海斗。自身は医学部を道半ばで退学し、週刊誌記者としてもやる気を見せていなかったが、敵対する錦戸演じる外科医・大友郁弥への対抗心などで理事長の座を奪うと、欲望を丸出しにする。

 しかし、医療においても経営においても素人な海斗は、頭のキレる大友にハメられるなど、大病院を巡る思惑に振り回されている。そんな海斗に対し、大友は医師としての技量は確かながら、何を考えているか分かりづらく、天堂家を貶めようとしているように描かれている。

 だが、医療や経営面で正論を放ち、実は患者の子どもに優しく男気のある一面を見せるなど、大友は極めて魅力的な人物に描かれている。もちろん、それは円熟味を増した錦戸の妖艶さや憂いを帯びた表情があってこそで、大友をダークヒーローとして主人公にした方が良かったのではないかという声まであがっている。

 海斗の“甘えたお坊ちゃん”ぶりについていけずドラマ視聴からは脱落しても、大友を演じる錦戸には好印象を持っている視聴者も多いのではないだろうか。

山下、錦戸の役者ポテンシャルは“証明”された
「ブルーモーメント」では、もっと分かりやすいヒーローである山下が見たいという需要を高め、「Re:リベンジ」ではどんな脚本であっても錦戸は魅力的に見えることを証明して見せた。その点において、2人の民放復帰作は十分意義があったように思う。

(こじらぶ/ライター)

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