「スカウトは本音を言わなきゃ」部長の気遣いに救われた

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 そいつに「だって先輩が引き合いに出したいまの4番って部長が推して取った選手でしょう。なのに、さも、自分が見つけてきたみたいに言うもんだから……」と言われて、ハタと気付いた。担当したのは確かにオレだけど、その選手は担当地区にいただけ。自分はむしろ獲得に消極的だったことを思い出したんだ。

 部長は会議でニヤニヤしながらオレの話を聞いてたけど、ホント、穴があったら入りたいって心境になった。

 後日――。部長とメシを食う機会があったんで、さすがに頭を下げた。いまの4番をさも自分が発掘したみたいな言い方をして申し訳ありませんでしたってね。

 すると部長は「そうやって物事を自分の都合のいいようにとらえて前を向くおまえの性格は悪いことじゃないんだぞ」って、ケタケタ笑いながらこう言った。

「スカウトはたいてい1年契約だ。失敗が続くとエラいさんの方ばかり見るようになり、ヘタなこと言ってまた裏目に出たらどうしよう、契約してもらえないんじゃないかって、消極的になっちまう。けれども、スカウトが本音を言わなくなったら、球団にとってはマイナスだからな」

 いつの間にか4番はオレが評価したと本気で思い込んでいた自分の性格が怖くなったが、部長の言うことを聞いて救われた気持ちになったのも事実。今度、後輩に会ったら、一度や二度の失敗なんて気にするな! 自分の意見は臆せず言わなきゃ意味がないぞって、言おうと思った。

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