素質を見抜くだけでなく「獲得後のフォロー」が大切だ

公開日: 更新日:

 この間は久々にアタマにきたね。あまりに、むしゃくしゃしたんで、昼間から酒を食らったよ。

 数年前にオレが担当してドラフト上位で獲得した高校生右腕。最近、伸び悩んでるって聞いたんで、球団関係者を通して球場に激励に行くって伝えたんだ。そしたら、あろうことか球団関係者の前で「チェッ!」と舌打ち、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたっていうんだ。

 言っておくけど、オレは担当だよ。感謝されることはあっても、嫌な顔をされる筋合いじゃない。気分は最悪、酒の力も借りて、つい、部長にグチをコボしたんだ。

■コーチに内緒で

 すると「おまえ、ちゃんとアイツのフォローをしてるのか?」と、こう言った。

「選手は取った後のフォローが大切なんだ。例えば、アイツの持ち味は球威があって球筋のいいストレートだろう。ファームの首脳陣は当然、長所を伸ばすことを最優先するさ。けど、いくら球威があったって、ストライクが入らないんじゃ一軍で使えない。少しくらい球速が落ちても、球筋の良さを生かした上で制球を改善する方法ってのがあるはずだろう。かといって首脳陣と違うことを言えば角が立つし、選手も混乱する。ときにはコーチに内緒だぞとクギを刺した上で、知恵を授けるとか、方向性を示してやるのもスカウトの大事な仕事じゃねーか。獲得したら知らんぷり。ボチボチ、一軍で投げてなきゃおかしいだろうと尻をたたくだけじゃ、選手は素質を100%発揮できねーし、おまえのことも信用しないって」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性