「科学報道の真相」瀬川至朗著
近年の事例を題材に、科学報道が抱える構造的問題を考察したテキスト。
福島第1原発事故ではマスメディアは連日、事故の最前線を取材し報道したが、人々の不信は募るばかりだった。政府や東京電力の会見などの「発表報道」に終始し、炉心融解など最悪のシナリオを語ることを避けているように感じたからだ。伝えて欲しいことが伝わってこないため、そこになにかの統制が働いているのではないかと読者や視聴者は疑った。こうした経緯を振り返り、科学報道が発表報道を克服できるか考える。さらにその3年後に起きたSTAP細胞報道、そして地球温暖化問題を巡る報道などを検証。
科学報道の舞台裏を解説しながら、その問題点を分析する。(筑摩書房 880円+税)