「正社員消滅」竹信三恵子著
今や非正規雇用は4割を超え、社会に出ようとする若者に「正社員」は高根の花となり、限られた正社員のポストを求める「椅子取りゲーム」が幼児のころから始まっている。
一方で、正社員の地位も変質。人々の思いにつけ込み、非正社員並みの待遇にもかかわらず、無期雇用というだけで、正社員を標榜する会社が出現している。極端な長時間労働や家庭生活に配慮しない転勤や配置換えも正社員を理由に正当化されている。今、日本の社会は、非正社員の増加とともに、正社員であることが「安定と安心の生活」を全く担保しなくなったという意味での正社員消滅に直面している。
正社員が消えた現場で何が起きているのかを取材し、労働者が働き方や生活を守るために何が必要なのかを考える警世の書。(朝日新聞出版 760円+税)