「優しき悪霊」輪渡颯介著
麻布・宮下町の長屋に住む子どもたちは、毎朝、祠をお参りするのが日課だ。早起きするのは構わないが、お参りをすると、「幽霊が分かるようになってしまう」のが困りものだ。しかも「幽霊の姿が見える」「声や音が聞こえる」「臭いを感じる」の3つに分かれてやってくる。
ある日、12歳の忠治たち4人は、空き家となった店でかくれんぼうをしていた。すると銀太が「臭い」と言い出した。留次郎も知らない男の声で「おとじろう」と囁くのを聞いたという。その翌日、店の娘と縁談話が持ち上がったあと、行方不明になっていた番頭の儀助が店の裏山から死体で発見され――。
霊の存在に慌てながらも謎の解決に挑む少年4人の幽霊事件簿。(講談社 1400円+税)