「ラブセメタリー」木原音瀬著
精神科クリニックの看護師・町屋は、診察中はカーテンで仕切られた薬品備品庫で待機する。以前、患者に襲われたことがある院長の飯田からの指示だった。
ある日、来院した患者の久瀬は、飯田が性犯罪者に施している性欲を抑制する治療をしてほしいと懇願する。詳しく聞くと、久瀬は10歳前後の少年しか愛せない小児性愛者で、このままでは犯罪者になってしまいそうだと胸の内を明かす。
1カ月後の早朝、友人宅から朝帰りした町屋は、道端で酔いつぶれている久瀬を見過ごすことができず、声をかける。久瀬は町屋のことを覚えていないようだった。ゲイの町屋は、以後、友人付き合いが始まった久瀬に次第に引かれていく。
2人の小児性愛者の人生と性を描く連作集。
(集英社 580円+税)