「十字架のカルテ」知念実希人著

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 光陵医大雑司ケ谷病院の新人医師、弓削凜は院長の影山に頼み込み、事件の精神鑑定の助手を務めることになった。

 歌舞伎町無差別通り魔事件の犯人の面談を経験してから2カ月、凜は母子心中事件の精神鑑定を担当することに。母親の美里がマンションから乳児を投げ落とした事件で、当初、美里には重度の産後うつ症状があり、貧困妄想に陥っていたと思われた。

 しかし面談が進むにつれ、美里は犯行の直前、悪魔に子供を殺せと脅されたのだと言い出し、凜は美里の詐病を疑う。心神喪失者の行為は罰しない。元看護師の美里はそのことを知っていたのではないか……。

 凜が美里の矛盾を一つずつ解き明かす中、突如、影山が美里に「あなたは裁かれることはない。責任はないのだから」と言い放つ――。

 犯罪を誘発させた心の奥にある闇を暴く連作ミステリー。精神疾患による犯罪に見せかけた復讐劇や、引きこもりの若者が優秀な姉を刺した本当の理由など、現代人が抱える家族問題を浮き彫りにしていく。凜が、精神鑑定を学ぶ決意をさせた事件の関係者の精神鑑定も描かれる。

(小学館 1400円+税)

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