俳優・三浦浩一さん「カンヌ映画祭のレッドカーペットを歩きたい」

公開日: 更新日:

■代表作は「鬼平」の密偵・伊三次

 テレビに出るようになってからの僕の代表作は池波正太郎さんの作品です。「鬼平犯科帳」は密偵の伊三次を、「剣客商売」では弥七を。伊三次はいなせで、男から見ても魅力的で本当に好きな役です。あの役があったからこそ今の三浦浩一があると思います。ただ、東京キッドを経てドラマにも出ることができたけど、待てよ、です。そもそも俳優を目指し、スクリーンの世界で活躍したいと思ったのが僕のスタート。映画にも出てはいたけど、その夢は実現してない。

 夢の実現としてはカンヌ国際映画祭に行ってみたい。今では日本映画に対する評価が高まり、日本の監督や俳優が毎年のようにカンヌに行き、タキシードを着て広い赤じゅうたんを歩いている。死ぬまでに僕も仲間と一緒に赤じゅうたんを歩きたい。

 しかし、残念ながらこれまで「これ!」という作品には恵まれていなかった。ところが、それがここにきてポンポンと出会いがありましてね。3作もです。カンヌに行けるかわかりませんが、仲間も一緒に行こうぜみたいな盛り上がりがあってこれまでとは違う気持ちになっています。

 1つは11月に公開される「ぴっぱらん!!」。元ヤクザが国会議員になるありえない話だけど、面白い役でね。2つ目は「ハオト」。これは太平洋戦争末期の陸軍の精神科病院の話。僕はぶっとんでいる患者役です。やっとこういう役に出会えたと思いました。3つ目は「囁きの河」。4年前に大災害になった九州の球磨川の氾濫を描く作品。僕はひどい災害を経験する旅館の主の役です。

 まったく毛色の異なる作品が3本。カンヌが無理なら、ベネチアでもいいしそれ以外でも。思い返せば、ガキの頃から俳優になりたい、カンヌに行きたいと周りには言ってきた。改めて言葉にして、自分で自分の尻に火をつけ、今は絶対に行くという気持ちです。

■妻・純アリスの夢もかなえたい

 妻だった純アリスのためにやりたいこともあります。アリスは5年前に亡くなりました。彼女は僕と同時期にキッドに入ったスターです。最初の頃、彼女は僕のことが嫌いで、僕もテレビやCMの売れっ子で、歌手もやっていた彼女を、いい気になっているとよくは思っていなかった。当時の僕は「怒りの三浦」と言われ、気持ちがすさんでいましてね。人付き合いが嫌で仕方がなかった時期でもあった。

 それなのにアリスと結婚することになり、ボスの東に報告したら、表面上は「おめでとう」と喜んでくれたけど、彼女はスターですからね、東もいろいろと思うところがあったみたい。僕がアリスに、「家庭に入ってくれ」と言ったことも周りからはよく思われなくて「三浦なんかと一緒になって」とか言われ、2人とも疲れちゃった。それならと2人でキッドをやめました。

 でも、彼女は3人の子供を育ててくれた。なのに最後の方は離れて生活して、寂しい思いをさせた。そのことは今も後悔しています。彼女が亡くなる少し前に後輩の俳優にこう言ったそうです。

「私ね、『シアター365』みたいな劇場をつくるのが夢なの。それをつくるまでは頑張るわ」

「シアター365」は新大久保の職安通りから路地に入ったビルの地下にあった毎日芝居をやる小さな劇場です。お金もかかるけど、それをかなえるのが僕の夢ですね。やらなきゃならないことも多いし、余裕ができたらの話ですけどね。

■「リア王」で初めてシェークスピアにチャレンジ

 演出の仕事もやってみたい。今では汗と涙の東京キッドの芝居を知らない人も多い。僕はキッドのおかげで今があるわけだから、東の七周忌の時に「GOLDEN BAT」を再現しようと思った。キッドは台本がない劇団ですが、ニューヨークのシアターでやった時に録音したテープが見つかり、セリフを起こしたりして池袋シアターグリーンで上演しました。プロデュースも演出も経験がない僕が、です。あの時は東が降りてきたのかと思いました。大赤字にはなったけど。でも、これぞ男の仕事と思いました。演出の仕事をもう一度やってみたいですね。

 東京キッドといういわゆるアングラみたいな劇団育ちなので、本格的なシェークスピア劇はやったことがありませんでした。今回の「リア王」が初めてです。正統派の芝居を僕がやるのは違うよな、やりたくない、避けて通りたいと思いながらここまで来ました。

 でも、横内(正)さんに声をかけていただき、一度は役者としてやっておくべきじゃないかと思うことができました。世界中で愛され、上演されているシェークスピアの作品をやることで、もう一つ上にいくことができるかなと勝手に思っています。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

▽三浦浩一(みうら・こういち)1953年、鹿児島県出身。77年、東京キッドブラザースに入り、時代劇「鬼平犯科帳」の密偵・伊三次役などで活躍。シェークスピア原作「リア王」(三越劇場、8月29日~9月2日)では主演・横内正(写真・右)、三浦は忠臣のケント伯を演じる。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・藤川監督が優勝特番で福本豊氏とバチバチ!「何もせえへんかった」に反論、露呈したOBとの溝

  2. 2

    阪神が佐藤輝明のメジャー流出に備え“金満補強”か…吉田正尚、元MVPゴールドシュミットら浮上

  3. 3

    高市首相“利益誘導”自慢の呆れたセンス…国交省1兆円交付金「確保」335回もアピール

  4. 4

    高市首相「脱リフレ宣言」は不発に…虚しく響いた所信表明演説の「市場」ラブコール5連発

  5. 5

    石橋静河「ブラッサム」は“朝ドラ勝ちパターン”! 15%→13%台でも中盤で盛り返す“2つの条件”

  1. 6

    【12球団】プロ野球2026年 戦力外通告選手(随時更新)

  2. 7

    簗農相「予算カット」恫喝発言が飛び火! 信じられない国交省調査で井林大臣は“火ダルマ”必至

  3. 8

    『アイヴ・ガッタ・フィーリング』寒空の屋上でノリノリ演奏も…カンペ見ながら歌うリアル

  4. 9

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  5. 10

    松嶋菜々子「救命病棟24時」第6シリーズで夫の反町隆史と“共倒れ”か…フジ「月9」三重苦とは

おすすめ求人情報

シニア・ベテラン歓迎/高時給/即日/個別指導塾/非常勤/時間曜日相談OK
株式会社イスト 大阪府 大阪市 派遣社員
時給1,600円~
ドライバー/配達/大型ドライバー 5~60代活躍中 大歓迎/シニア積極採用中
株式会社明和産業 神奈川県 横浜市 正社員
月給33万8,000円~
定年なしで中高年・シニア歓迎の清掃スタッフ「マンション管理代行」/急募
株式会社うぇるねす 愛知県 名古屋市 業務委託
時給1,160円~
定年なしで中高年・シニア歓迎の清掃スタッフ「マンション管理代行」
株式会社うぇるねす 大阪府 高槻市 業務委託
時給1,210円~
「シニア歓迎」体力の不安なし・力仕事ゼロ/日払い・週払いOKの案内スタッフ
株式会社アリーナセキュリティ 神奈川県 海老名市 アルバイト・パート
日給1万1,500円~
Sponsored by 求人ボックス