「鉞ばばあと孫娘貸金始末十両役者」千野隆司著
「鉞ばばあと孫娘貸金始末十両役者」千野隆司著
お鈴は、10年前に火事で両親を失い、以来、祖母のお絹と2人暮らし。10歳からは金貸しを家業にするお絹の利息の取り立てにも行かされてきた。お絹は、磨き上げた鉞で客を脅すことから、鉞ばばあと呼ばれている。
ある日、大部屋役者の團五郎がお絹に15両もの大金を借りに来た。出世の足掛かりとなる大役を得たが、衣装代25両のうち足りない分を借りたいというのだ。
しかし、お絹は10両だけしか貸さない。それでもほかから工面して、ようやくそろえた25両を懐に衣装屋に向かう途中、團五郎は現れた男に金を奪われてしまう。お鈴は、男の行方を追うお絹の弟で岡っ引きの倉蔵に同行して聞き込みに歩く。
強欲な祖母とおてんばの娘が事件を解決する痛快時代連作小説。
(集英社 660円)