『わたのまち、応答セヨ』100分の1まで衰退した三河木綿の復活プロジェクトは「逆境」と「奇跡」の物語だった

公開日: 更新日:

『わたのまち、応答セヨ』新宿シネマカリテほか全国公開中

 地方都市のさびれゆく産業文化にスポットを当てたドキュメンタリー……こう聞くと「どうせ安作りのPRビデオでしょ」と片付けてしまうものだ。実は筆者もそうだった。この「わたのまち、応答セヨ」は愛知県蒲郡市に1000年以上続く三河木綿の歴史と現状を伝える映画。衰退した文化の好いとこ取りをした作品だろうと思って見てみたら、ずいぶんと違う。ドラマがあるのだ。

 制作陣のドラマは逆境から始まった。町の基幹産業を盛り立てる映画を作るのだから、ふつうなら歓迎されるはずだ。ところが現実は正反対。地元業者らの反感を買ったという。

 プロデューサーの土屋敏男は作品中でこう明かしている。

「『そんなことは必要ない』『やるんだったら、勝手にやってくれ』『余計なことをしないでくれ』と真っ向から否定され、正直かなりのショックでした」

 もともとは蒲郡市が依頼した企画だ。市は映画に期待しているが、地付きの業者たちは懐疑的。というより冷笑を浴びせかけたわけだ。そうした反感をどうやって乗り越えたかが本作の見どころでもある。

 日本に初めて綿花栽培がもたらされたのは今から約1200年前の799年。この蒲郡に外国人が漂着し、地元の人々に世話になったお礼として綿花の種子を分けてくれたのが始まりという。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  3. 3

    上野樹里“ガン無視動画”にネット騒然! 夫・和田唱との笑顔ツーショットの裏のリアルな夫婦仲

  4. 4

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  5. 5

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  1. 6

    松本潤&井上真央の"ワイプ共演"が話題…結婚説と破局説が20年燻り続けた背景と後輩カップルたち

  2. 7

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  3. 8

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  4. 9

    松本潤「19番目のカルテ」の評価で浮き彫りに…「嵐」解散後のビミョーすぎる立ち位置

  5. 10

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ