著者のコラム一覧
スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966-2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。

【10 YEARS, ROMANCE ザ・タイガース写真集】で再度納得する「あの話」

公開日: 更新日:

 連載で引用しようと思って、チャンスがなかった写真集である。奥付を見ると「1982年3月17日初版発行」「定価 2000円」「編 ザ・タイガース同窓会」「発行 第三書館」とのこと。

 シングル『色つきの女でいてくれよ』、アルバム『THE TIGERS 1982』の発売(1982年2月5日)から、ほぼ1か月後に刊行されたということになる。ちなみに、1982年2月5日は、ザ・タイガースのデビュー曲『僕のマリー』の発売から、ちょうど15年後にあたる。

 高校入学直前だった。2000円は正直つらかったが、見事な装丁、紙質、デザインに魅せられて、思い切って買った。買った場所も憶えている。近鉄奈良線・八戸ノ里駅の北側にあった本屋だ。

 それにしても表紙だ。5人の美しさはどうだ。特に沢田研二の美しさには、当時15歳、思春期真っ盛りの少年だった私でさえ(いや、だからこそ?)ドキドキしたものだ。いちばん右、瞳みのるの顔に花がかかっているのは、このときの「同窓会」に参加しなかったからだろう。

 そして裏表紙がこうなる。何とも気が利いているではないか。

 中身で興味深かったのは、内田裕也と沢田研二の対談である。出典は、1974年の『音楽をどう生きるか―内田裕也対談集』(創樹社)。以下「Y」が内田裕也、「S」が沢田研二として読んでいただきたい。

Y そう、そのまえはまだタイガースじゃなくてファニーズだったんだね。名前のセンスあるグループって、キャロルにしてもだけど、やっぱり何か持ってるね。もし名前変えるんだったら"TR・フォー"とか。

S "スティングレイ"とか……。

Y そういうシャープな名前のほうがいいんじゃないかと……。

S いろいろ考えましたね。

Y そしたら知らない間にタイガースだっていうんだよね。

S いやだよ、こんなの、てみんな言ってたね。

Y どういうアレできまったんだっけ? 関西から来たというんで……。

S まぁそのへんでしょ、結局。

Y 関西だから阪神タイガースだなんて、いい加減にしろよ、このヤロー、みたいな?????。

S あんまり大きく考えてなかったと思うんですよ。

 あらためて、何でザ・タイガースにしちゃったんだろうと思う。ファニーズでよかったのだ。異論反論もあるかもしれないが、内田裕也と沢田研二が上のように話しているのだから、許していただきたい。

 それにしても、沢田研二の言う「スティングレイ」は魅力的ではないか(内田裕也の「TR・フォー」はよく分からないが)。もし「スティングレイ」だったら、日本の音楽の歴史はどう変わっていたのだろう。

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