鈴木スポーツ庁長官 “五輪メダル量産プラン”のオメデタサ
間の抜けた話だ。
スポーツ庁の鈴木大地長官(49)が3日、五輪でのメダル量産を掲げた「鈴木プラン」を発表。20年の東京五輪と以降の大会に向け、「日本はメダル獲得が安定して期待できる競技が固定的かつ少数」と指摘し、高校球児ら運動能力に優れたジュニア世代を他競技にスカウトする発掘事業などを柱とする強化策を打ち出した。自国開催の五輪でメダルラッシュ! と意気込むのだが、浮かれている場合ではない。
小池百合子都知事は、豊洲への市場移転問題から東京五輪にもメスを入れ始めている。ボートやカヌー、バレーボールの会場など3施設の建設中止が提案され、五輪開催そのものに対する批判も改めて噴出している。都の調査チームによって、招致段階で7340億円と見積もられていた開催費用が、3兆円を超える可能性が指摘されているとあっては、それも当然だ。東京五輪の開催意義が疑問視されているところへ、メダル量産の「鈴木プラン」発表とはオメデタイにもほどがある。
鈴木長官は、「それら(メダル有力競技)だけで飛躍的にメダル獲得数を伸ばすことは難しい」と強化戦略の改革に意気込むが、メダルの数勘定の前にやることはヤマほどあるだろう。開催費問題から国民の目をそらす思惑だとすれば、喜んでいるのは組織委の森喜朗会長くらいではないか。