「客室乗務員の誕生」山口誠著
客室乗務員の歴史をたどり、時と共に変遷してきたその呼称と役割の社会的意味を読み解く論考。
客室乗務員は、戦前は「エアガール」、終戦後には「エアホステス」、その後長く「スチュワーデス」、今は「CA(キャビンアテンダント)」と呼ばれる。呼称だけでなく期待されるその社会的役割も変化してきた。
現在、客室乗務員は「おもてなし」の達人と自他ともに認めている。しかし、客室乗務員が「おもてなし」と結合して、その先導者としての社会的役割を担うようになったのは1980年代以降だという。いつから日本の客室乗務員には「おもてなし」が期待され、その達人になることが究極の任務になったのか。その歴史と時代ごとのメディア言説を分析しながら、観光社会学の視点から考察する。
(岩波書店 840円+税)