「日航123便 墜落の新事実」青山透子著
1985年8月12日。羽田空港を離陸して伊丹空港に向かった日航ジャンボ機123便が、群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落した。圧力隔壁の修理ミスが事故原因だと発表されたが、32年経過した今でも不審な点が残っているという。元日航客室乗務員の著者は、事故原因への疑問をまとめて前著「天空の星たちへ―日航123便 あの日の記憶」(マガジンランド)を2010年に出版したが、出版後新たな事実や目撃証言などが寄せられ、風化させてはいけないという使命感から本書を書いた。
地元小中学生の文集にある「大きな飛行機と小さな2機のジェット機が追いかけっこしていた」という目撃談、墜落機の腹にオレンジの楕円形のものが見えたという複数の証言、政府による原因追究の仕方と事故報告書の不自然な点など、著者は時間をかけてさまざまな事象や証言を集めてきた。
なぜあの日多くの人が命を落としたのか、真実を明らかにしたいという強い思いが伝わってくる。
(河出書房新社 1600円+税)