岸田首相の「鈍感力」恐るべし…解散も内閣改造も断念、八方塞がりでも党総裁再選に楽観

公開日: 更新日:

 イタリアで開かれたG7サミットから16日帰国した岸田首相。23日の国会会期末まで1週間となり、17日の衆院決算行政監視委員会、18日の参院政治改革特別委員会、19日の党首討論に3日連続で出席する。裏金問題を中心に野党から集中砲火を浴びることになりそうだ。

 党首討論では、立憲民主党の泉代表が衆院解散を迫るとみられ、自民の一部に「受けて立つと答え、破れかぶれ解散になったらどうしよう」と不安を漏らす向きもあるが、「『いま解散したら、与党過半数割れで、退陣ですよ』と、身内の岸田派議員らからも止められ、さすがに断念した」(岸田首相周辺)が大方の見方だ。

 外遊先のイタリアで、会期末の衆院解散や閉会後の内閣改造と自民党役員人事の可能性について報道陣に聞かれ、岸田首相は「政治改革をはじめ先送りできない課題に取り組んでいる。結果を出すこと以外、今は考えていない」と、毎度のセリフだった。

■石破幹事長説も危うい

「解散だけでなく人事も難しい。9月の総裁選まで残り2カ月なのに、任期を迎える総理総裁がその直前に人事なんて常識的にあり得ないし、泥舟に乗る人はいない。石破幹事長説が囁かれていたが、石破さんが受けなかったら、人事で取り込んで総裁選出馬を封じる作戦も破綻します」(自民党関係者)

 解散、改造と政権延命カードを次々失い、自民党の地方組織からは退陣要求が公然と噴出。横浜市連や、長野県連に続き、先週は秋田県連でも政治刷新車座対話の場で、「次の総裁選に向けてトップが責任を取るべきだ」と厳しい意見が飛んだ。自民党は地方の選挙で敗北続き。この先も退陣要求が広がるのは間違いない。

 公明党も山口代表ら幹部が街頭やラジオ出演で自民批判を強めている。「総裁選後に新しい自民党の顔で解散総選挙」が公明の願望だ。

 ところが、である。ここまで八方塞がりでも、岸田首相は「俺しかいないだろう」と総裁再選に楽観的らしい。その鈍感力たるや恐るべし、だ。

 国会閉会後は秋に向けて外交日程を調整中。「外交の岸田」で政権浮揚を狙ういつものパターンだ。総裁選についても、石破氏は党員人気はあっても議員には人気がない。麻生派、旧茂木派、旧岸田派に旧谷垣グループを合わせれば多数を取れると皮算用。そんな楽観シナリオを描いているようだが、麻生副総裁が本当に岸田首相を担ぐのか?

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    参院選の候補者が正式に決まらない…国民民主党「玉木執行部vs参院女子」の熱き内部ドタバタ対立

  2. 2

    国民民主党が参院選東京選挙区で“台風の目”に…元NHKアナ牛田茉友氏のみならず2人目擁立の狙い

  3. 3

    立憲の消費税0%案「原則1年・食品限定」にこれだけの弊害…国民玉木代表は独自試算で批判連発

  4. 4

    シリーズ「昭和の亡霊・7つの戦時用語」(79)天皇免責の証言よりも重かった東條英機の「プライド」とは

  5. 5

    参院選に向け永田町で出回る“怪情報”…自民情勢調査で「単独過半数維持」って甘すぎやしないか?

  1. 6

    消費税「食品ゼロ1年間」を参院選公約に…寄り切られた立憲野田代表の油断ならないバーター懸念

  2. 7

    石破内閣15大臣「GW外遊」に血税9億円超! 物価高で野党が異例の「反対」も前例踏襲でイケイケの無神経

  3. 8

    滋賀・彦根市長選で“石丸伸二ベッタリ”現職まさかの落選…「再生の道」に“NO”突き付けられ都議選と参院選に黄信号

  4. 9

    「トランプ関税は不良のカツアゲ」…米国で立憲議員シンジ・オグマの国会質問動画が大バズりのナゼ

  5. 10

    党首討論ねっとり30分…与野党2トップ自民石破&立憲野田が「見つめ合う」気味悪さ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意