“人種タブー”を描いた「ブラック・クランズマン」の本気度

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 黒人ピアニストと白人運転手の友情を描き、米アカデミー作品賞を獲得した「グリーンブック」が、欧米メディアや黒人社会の一部から厳しい批判にさらされている。その多くは“白人監督が彼らに都合よく黒人差別問題を扱った映画”というものだが、単に感情的な反発とおぼしき論調も少なくない。映画批評家の前田有一氏は、この騒動の裏に別の一本の映画作品があると指摘する。

「『グリーンブック』は確かに社会問題をあからさまに糾弾するタイプの映画ではありません。しかしトランプ登場以降の分断社会に危機感を持つハリウッドで融和と希望を訴える実話美談が作品賞を取ったのは必然だし、映画の出来もいい。ただ今年は候補作に、黒人から圧倒的な支持を集める社会派監督スパイク・リーの『ブラック・クランズマン』があり、これを蹴落とした格好になったため、騒ぎが大きくなったきらいがあります」

「ドゥ・ザ・ライト・シング」(89年)など、人種問題をライフワークとする名匠スパイク・リーによる実録ドラマ。舞台はいまだ黒人差別が色濃く残る70年代。コロラド州の警察署に初の黒人刑事として赴任したロン(ジョン・デビッド・ワシントン)が、白人至上主義団体KKKに“潜入捜査”する衝撃の実話ドラマだ。

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