高橋善正氏も称賛「ドラマ不足の球界を星野監督が盛り上げた」
日本シリーズ第7戦、楽天・田中将大(25)の救援起用がちょっとした議論になった。
田中は前日の第6戦に先発し160球を投げて完投。打線の援護に恵まれず黒星を喫し、対戦成績は3勝3敗。星野監督は最終戦、美馬―則本とつなぎ、九回は田中が巨人打線をきっちり抑えて楽天初の日本一を勝ち取った。
今のプロ野球では160球の完投さえ珍しい。疲労が残り、筋肉の回復過程における登板など、スポーツ科学の専門家に言わせれば「危険な酷使」ということになるのだろう。
あの場面、星野監督が何の話し合いもなく田中をマウンドに送り出したとすれば問題だろうが、おそらく第7戦の最後は「田中で締める」ということは両者間で合意していたはずだ。それなら、東北のファンを喜ばす最高の演出ではなかったか。
私がプロ入りした昭和40年代前後は、エースの4連投なんて当たり前だった。それでも33年の日本シリーズには驚いた。
3連敗した西鉄が4連勝して巨人に逆転勝ちしたこのシリーズ、稲尾(和久)さんは7試合中、6試合に登板。5試合に先発して4完投し、「神様・仏様・稲尾様」と呼ばれた。プロといえども誰にでもできる芸当ではない。