<第1回>緒方孝市監督が吐露した“追う側”のつらさ
「ダッシュで競走させていただけませんか?」
20年ほど前のことです。現役でプレーしていた私は無謀にも、3度の盗塁王を獲得した緒方孝市さんに短距離走を挑みました。
私が95年にカープに入団して2~3年後、キャンプの練習後だったと思います。5歳年上の緒方さんは当時、バリバリのレギュラー。私が新人だった95年、シーズン中盤からレギュラーに定着し、101試合出場で47個もの盗塁を決めて初のタイトルを獲得すると、その年から3年連続で盗塁王に。脚力が強く、スライディングも速い。相手バッテリーが走ってくることが分かっている状況でも、ガチンコ勝負で塁を奪い取るような凄みがありました。
そんな緒方さんと一度でいいから走ってみたい――。
私はプロ野球選手でありながら、野球少年のような憧れの気持ちを抱いていました。
もっとも、私は投手であることを差し引いても、足には全く自信がありませんでした。ヨーイドンでスタート。5メートルほど走ったときにはもう、緒方さんは5メートル先を行っていました。案の定、完敗です。


















