「お願い離れて、少しだけ。」越智月子著
父が単身赴任中で、母と2人暮らしの百合。色白で美人の母は、父親似で色黒・不美人の百合が不満で、自分の思い通りに動かそうとする。かつて〈友達以上彼女未満〉の関係だった淳が、妊娠した妻と一緒にいるのを目撃した。淳が送ってきたメールを盗み見た母が、絵文字だらけのメールで頭悪そうと、勝手に受信拒否にしてしまった。それで諦めたのだった。仕方なく百合は架空の恋人〈圭くん〉をつくりだして、夢の中で会っていた。ある日、小田原にいるはずの父とばったり会った。大きなキャリーバッグを持っている。(第1章 花束)
母の呪縛から逃れようともがく娘を描く5つの短編。(祥伝社 1400円+税)