記者らが伝えるニュースの裏側にある生きた現実

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 戦争特派員というけれど、その多くはストリンガーと呼ばれる契約の取材記者だ。危険な前線取材の大半は、そういう人々が現場を担っている。

 彼らの取材はごく一部のみがニュースに使われる。映像も断片の組み合わせだ。しかしその裏面にある、生きた現実はなにか。それを伝えるのが今週末封切りの「マリウポリの20日間」である。

 ロシアのウクライナ侵攻に関連したドキュメンタリーは数多い。ロシア国境に近い東部ドネツク州を取材した先行作品にも、ちょうど1年前に公開された「マリウポリ 7日間の記録」がある。もとは考古学者だった非業のドキュメンタリストの遺作だ。

 今回の作品はロシアのクリミア併合から取材を続けるAP通信の契約記者ミスティスラフ・チェルノフと彼のチームが、ニュースに使われなかった部分を含めて長編映画にしたもの。テレビでは決して放映されない乳幼児らの遺体も、壊れた商店から略奪する人間も繰り返し出てくる。

「ある医師が言った。『戦争はX線だ。人間の内部を映し出す。善行も、悪事も』」

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