「立身いたしたく候」梶よう子著
商家の5男に生まれた留吉は、跡取りを探していた貧乏御家人・野依家の婿養子となり、駿平を名乗る。病弱の養父・孫右衛門は、無役無勤の者が属する小普請組で、一度も働いたことがない。かつて野依家では徒目付組頭まで昇進した先祖がいるらしく、養母の吉江は駿平にまずは将軍の警護をする「徒」を目指すよう武芸の稽古をつけられる。
1年後、武家の作法や決まり事を身につけた駿平は、お役を求めて小普請支配の片桐家に出向く。その日は、支配との面会が許されている「逢対日」で、早朝にもかかわらず、片桐家の門前にはお役を求める武士らで行列ができていた。
幼馴染みの智次郎とともに御番入り(お役に就くこと)を目指す駿平の奮闘を描く時代お仕事小説。
(講談社 720円+税)