「ヨイ豊」梶よう子著

公開日: 更新日:

 元治2(1865)年如月、亀戸村の光明寺で三代歌川豊国の七十七日法要が営まれる。広重も、国芳も既に他界。豊国の弟子で娘婿でもある二代目國貞こと清太郎は、版元らが大看板の豊国を失った歌川一門の去就を案じていることを痛感する。

 師匠は生前、清太郎を評して、根が真面目で、裏がないが、絵師としては面白くないと常々言っていた。自分でもそのことは痛感している。一方の弟弟子・八十八は、素行はでたらめだが、絵の才だけは天賦のものがあり、清太郎も認めざるを得ない。周囲は清太郎が豊国を継ぐと期待するが、清太郎にその気はない……。

 黒船来航から12年、幕末の江戸で滅びゆく一門と浮世絵を守ろうとする男たちの夢と意地の戦いを描く長編時代小説。(講談社 800円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    尽きぬ破天荒エピソード…それでもショーケンが愛された訳

  2. 2

    河合優実が日本アカデミー賞「最優秀主演女優賞」の舞台裏…石原さとみと激しいガチンコ勝負

  3. 3

    教諭体制は日本一も…“国公立の雄”筑波大付属小の落とし穴

  4. 4

    「中居正広問題」ではノーダメージも、夫は吉本芸人…フジ山﨑夕貴アナの育休復帰は正解か

  5. 5

    やす子は人間不信に…友人から借金を頼まれたら「さっさと貸して縁を切る」という新発想

  1. 6

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  2. 7

    「石破降ろし」不発の裏でうごめく与野党の身勝手な思惑…野望ついえた安倍一派は“特大ブーメラン”に真っ青

  3. 8

    愛子さまに、佳子さまご結婚後も皇室に残る案が進展も…皇族数減少の課題にご本人の意思は?

  4. 9

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  5. 10

    数年前から“終活”も 萩原健一さんの知られざる闘病生活8年