「救急車が来なくなる日」笹井恵里子著
崩壊寸前の救急医療の現場を取材したリポート。
高齢化に伴い、救急出動件数はこの30年で2倍近くにまで増加。救急搬送患者に高齢者が占める割合も同じく34%から59%まで上昇。これは人口構成以上で、救急医療の現場では、団塊世代が75歳以上になる2025年に今から危機感を抱いている。また、通報から救急車が現場に到着するまでのレスポンスタイムは、この10年で1・6分も延伸。世界的ガイドラインでは6分台だが、全国ワーストの東京では10分を超えている。さらに病院に受け入れを断られる「たらいまわし」によって、通報から病院に収容されるまでの所要時間も13分延伸。こうした現状を伝えながら、救急医療を今後も維持していくためにはどうすればよいのかを考える。
(NHK出版 800円+税)