「阿弥陀小僧七変化盗まれた小町娘」飯島一次著
呉服商三浦屋の跡取り息子・忠太郎は、芝居好きが高じて勘当され、今は捨蔵の名で舞台に出る三文役者。ある日、下足番の弥吉から、山下町で婆さんが古着の着物を盗まれ、そばに小判が落ちていたと聞き、犯人は世を騒がす盗人の阿弥陀小僧ではないかと疑う。阿弥陀小僧は、旅の僧や茶の宗匠などに成り済まし、金持ちのお宝を盗み、世間の喝采を浴びていた。捨蔵は、阿弥陀小僧が盗んだ古着は新たな変装のための衣装と睨んだのだ。捨蔵の推理を聞いた十手持ちの辰吉が調べると、婆さんが盗まれた古着は40年前、奉公先の殿様から拝領した着物だった。
本紙好評連載に、書き下ろしが加わって始まった新シリーズ第1弾。(双葉社 611円+税)