【ユニーク読書ガイド】ビジネス書の乱読から“体系的読書”へ
「戦略読書」三谷宏治著
読書はビジネスの戦略を得るために最も効果的な方法。ただしビジネス書ばかりひたすら乱読するのがいいかといえば、さにあらず。長年、有名経営コンサルティング企業に勤務した著者によれば、良い読書には戦略が必要。ビジネス書を読むなら少数の古典的大著を丁寧に読破して身に付ける「基礎」(徹底攻略)と、興味あるテーマや具体的な企業事例本などをできるだけ多数読みこなす「応用」(ファクト集中)に分ける。
他方、楽しみのための読書はSFや歴史、科学ものなど自然やヒトの本質に目を開かせてくれるような「非ビジネス基礎」(楽しく雑学)と、はやりものや話題の本などに月1冊は手を出してみる「非ビジネス新奇」(流行チェック)がある。
要するに自分の読書ライフを体系的に構築することで、毎日の読書が自然に戦略的なものとなっていくわけだ。目次には「読書ポートフォリオ・シフト」「発見型読書法」「知のオープン化」「セグメント別ブックガイド」など魅力的な項目が並んでいる。(ダイヤモンド社 1800円+税)
「世につまらない本はない」養老孟司、池田清彦、吉岡忍著
子どもにどんな本を読み聞かせしたら脳の発達にいいんでしょう? ママさんたちからしょっちゅうそう聞かれるという唯脳論で有名なヨーロー先生。しかし答えは「わかりません」。読み聞かせするから字を覚えるわけではない。活動性の高い子が字を早く覚えるのだ。そんな話題から始まる座談形式のブックガイド。古今の名作を3人が選ぶ「勝手にノーベル文学賞」、マンガ第1世代の3人が放談する「京都でマンガ三昧」など楽しいおしゃべりが満載。(朝日新聞出版 600円+税)
「科学の本一○○冊」村上陽一郎著
ビッグバンが宇宙の始まりになった、というのは定説。しかし爆発する火の玉がなぜ生まれたのかはわからない。それを説明したのが「インフレーション理論」。無の空間の中のゆらぎから生まれた異常膨張から火の玉が生じ、それがビッグバンとなったのだ。そんな「インフレーション理論」を含め、素人が読んでも面白い科学の本だけを集めたブックガイド。科学史の専門家が書斎で自由に放談するような調子の見開きエッセーで名著を次々に紹介してくれる。(河出書房新社 1600円+税)