「生命を支える ATPエネルギー」二井將光著
体内でエネルギーに関わるメカニズムが破綻するとさまざまな病気が表れる。では、体内のエネルギーはどのようなシステムでつくられ、それはどのように使われているのか? これを解説している。「エネルギー通貨」である「ATP」は受精卵からヒトへと成長するにあたり繰り返し行われる細胞分裂と機能分化をはじめ、筋肉の収縮や細胞内の小器官の運動、ナトリウム、カリウム、カルシウム、水素などのイオンの輸送にも使われている。その重要性と共にATPをつくる酵素の実態を紹介してくれる。精密機械のように複雑で正確なエネルギーシステムが人間の健康を支えていることがわかる。さまざまな図表を使って工夫している。人間のカラダを理解するには良い本だがやや難解。高校の授業で生物が好きだった、あるいは大学で勉強した、という人向きかも。
(講談社 1000円+税)