「いつでも背骨」吉田始史著
元看護師であり、現在は道場で合気道や空手道の指導を行いながら高齢者のデイサービス施設を運営する著者が、姿勢の重要性と正しい姿勢の保ち方を説く。
著者が運営する施設には、長年にわたり猫背の姿勢であったため胸の筋肉や肋骨が動かず硬くなっている高齢者が少なくないという。すると、呼吸が極めて浅くなり、常に息苦しい状態が続き、血流や内臓の圧迫なども避けられなくなる。
さらに、首が前に出た状態で固定されてしまうことで嚥下困難が生じたり、脊髄が圧迫されているケースもある。全身の筋肉のバランスも崩れて転倒しやすいなど、高齢者にとっては致命傷にもなりかねない状態を、姿勢の悪さが招いているという。
自分が正しい姿勢を取れているかは、壁を背に立ち、後頭部・背中(肩甲骨の間)・臀部・かかとの4点が自然に壁につくかを確かめることで分かる。これができない場合は、今すぐに正しい姿勢を取り戻す努力を始めよう。
まずは直立し、股関節を締め、尾骨を正面に向けるようにして骨盤を正しい位置に“立たせる”。感覚が分からない場合は、“うんこを我慢する姿勢”と考えればいいと著者。お尻の筋肉が締まり、骨盤が立った姿勢になるはずだ。次に肩甲骨を腰に押し付ける感覚で下げ、首全体を後ろに下げるイメージで顎を引く。立っているときにこの姿勢を意識することで、徐々に正しい姿勢が身についてくるはずだ。
(BABジャパン 1400円+税)