ワクワク感が起これば幸福寿命が延びる

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「幸福寿命」伊藤裕著

 日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳。最近では、健康上の問題がない状態で社会的に独立して日常生活を送ることのできる「健康寿命」にも注目が集まっている。

 そして、医師である著者が新たに提案するのが「幸福寿命」を延ばすことだ。幸せを感じることなく長生きするのは苦痛なもの。世界トップクラスの長寿国である日本では、幸せを感じながら生きる幸福寿命を延ばすことが重要であり、その鍵を握るのがホルモンであると本書。私たちの体の中で活躍するさまざまなホルモンたちの役割と、分泌を促すための生活習慣について解説している。

 ホルモンの本来の働きは、ホルモンが働く「細胞」を「興奮」させること。細胞同士の興奮によって臓器全体が活発になり、体全体を元気にしてくれる。私たちが何かを期待したとき“ワクワク感”が湧き起こってくるが、これはホルモンによる働き。ホルモン分泌を活発にすることこそが、幸福寿命を延ばすことにつながるわけだ。

 欲望の源泉ホルモンであるドーパミンやアドレナリンは、ここ一番というときに力を発揮する頼もしい存在だが、常に攻撃的でいては心身が疲弊してしまう。そこで好敵手となるのがセロトニン。心と体を安らかにし別名、幸せホルモンとも呼ばれている。分泌を促すには、原料となる乳製品や豆類、ナッツ類などを積極的に取りたい。体の中でセロトニンを最も多く作り出す腸の環境を整えるため、食物繊維をしっかりと取ることもお勧めだ。

 (朝日新聞出版 760円+税)

【連載】長生きする読書術

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